誰もが夢に見るであろう、働かなくてもお金が入ってくる仕組み。
それを実現させているアフィリエイターが「うみ」さんだ。
元々彼は生活保護家庭で育ち、5年間フリーターをしていたという経歴がある。
人生の中では、収入が少ない時期の方が圧倒的に長かった。
そんな彼がいかにして現在の成功を手にしたのか。そして今、何を考えているのか。
うみさんのこれまでと今後の考え方に迫る。
うみさんとは? 肩書と実績
フリーター向けの「20代後半で就職した元フリーターのブログ」、ネット回線を解説している「やさしくねっと」を中心に、複数のメディアの運営をしている。
Twitterアカウントも複数所有しており、それぞれ「うみ」「ねとみ@やさしくねっと」が紐づけられている。
現在はメディア運営のほとんどの外注化に成功し、フリーランスとして年収2000万円を達成している。
何もないところからの成功物語
うみさんは今でこそ年収2000万円の悠々自適な生活を送っているが、元々は生活保護家庭で育ち、長いフリーター生活を送った特異な過去を持っている。
まずは彼の半生を辿っていこう。
生活保護からフリーターになるまで
「両親が病気で働けなかったので、高校を卒業するまでは生活保護家庭でした。ややこしいんですけど、生活保護家庭にいると基本働いちゃダメなんですよ。高校のバイト(月に3万前後)ぐらいの稼ぎなら大丈夫なんですけど、それ以上稼ぐと保護の対象から外れてしまうんですね」
「だから高校を卒業して働きだすタイミングで、同時に家を出る必要もありました。ただ当時は今みたいに景気のいい時代ではなかったので、就職先もそんなすぐには決まらなかったんです」
「そこで親戚の叔父さんが紹介してくれた木材加工の会社に就職して、家も叔父さんの所に移ることにしました。職場はいい人ばかりだったんですが、社員の方と年が離れすぎていることもあって面白くなくて。やりがいも感じられず、1年半で退職してしまいました」
その後カラオケ店に就職するが、1年半ほど勤めた後、21~26歳までフリーター生活を送ることになる。
人たらしを発揮したフリーター時代
この時、親戚の家も出ることになった。
「出身が高知なんですけど、高知で二十歳そこそこだと大体給料の手取りが15万円もないんですよ。それで一人暮らしとなるとほとんどお金が残らないんですよね」
お金がなくて苦しいはずのこの時期。彼はどうやら人たらしを発揮して都度ピンチを乗り越えていたようだ。
「まずは友達の家に転がり込みました。それから『携帯代がなくて困ってる』って言ったら出してくれる人がいたり。同棲した時には、相手の女の子が働いて僕は何もしないみたいな時期もありました」
彼には、思わず手を差し伸べたくなる雰囲気という、ある意味最強のサバイバル能力が備わっていたのかもしれない。
結婚を機に再就職に踏み切る
うみさんは26歳の時に無職で結婚、そして再就職を果たす。
なぜこのタイミングで結婚を思い立ったのか。
「一度同棲経験があったので、僕の中では同棲したら結婚しないとなっていうのがあったんです。それにこの時無職でしたが、結婚した方が就職は決まりやすいだろうと思ったんです」
「企業からしたら、フリーターはすぐ辞めるんじゃないかというのが頭にありますよね。だから結婚していたら、そこを突っ込まれても理由付けできるなと。養っていかなきゃいけないので」
久しぶりの定職。ここで営業経験を積むことになるが、それはのちに大きく役立つことになる。
仕事に繋がると思って続けたブログ
「2013年3月に就職をして、その年のお盆休みに時間ができたので副業を調べたのがきっかけですね。最初は転売とかもしていたんですが、会社に勤めながら発送作業をするってなかなか大変で」
「それにブログで集客ができるようになったら、この先何か仕事に活かせるかなと思って、物販はやめたけどブログは続けることにしました」
まずは「雑記ブログ」から始めた。
「もともとあまり文章が書けなかったこともあって、自分の書けることを書くというスタンスで始めました。ヒットした記事としては、洋楽か洋画のまとめ記事だったと思います。他にはUFOキャッチャーの記事とか、ほんとに色んな記事を書いていました」
記事執筆は会社から帰宅後の2~3時間。
当時はテレビも見ず、マンガも読まなかったため、趣味感覚で取り組めていたという。
分からなくて楽しかったから続けられた
雑記ブログを始めてから1年ほど経つと、同じ時期にブログを始めた人たちとTwitterで繋がり、そこからアフィリエイトの存在を知る。
そしてネット回線についてのサイトを作り、複数サイトの運営にも手を出し、会社を退職する時にはアフィリエイトで会社員の手取りほどの収益を上げていたという。
副業として複数サイトを運営できた理由とは何なのか。そして、いかにしてブログを成長させていったのか。
「ネット回線のサイトをやってみて、途中でフリーターのサイトを作ったんですけど、なんで途中で別ジャンル(人材)に参入したかっていうと、ネット回線サイトをやっていて分からないことがたくさん出てきたからなんですよ。コンバージョン率(CVR)が悪いのってなんでだろうみたいな。絶対案件のせいだろうなとか。」
「そこでもう1サイト作って全く別の案件をやれば分かるんじゃないかと思ったんです。だから継続できた理由は、『分からなくて楽しかったから』かなと思うんですよね。分からないから好奇心が刺激されて、売上をどうやってあげるかを考えるのが楽しかったんです」
参入のタイミングが良かった
彼がブログで成功したのは、ブログを始めた2014年というタイミングが良かったことも大きいと考えているという。
「当時は、いわゆる『コンテンツ SEO』という言葉が流行り始めた頃で、それまで大量にあったブラックSEOのサイトがGoogleのアップデートで飛ばされたんですね」
「後から知ったんですが、丁度SEOがブラックハット主流からホワイトハットに変わる時期だったと思うんですよ。被リンクで順位を上げるとか、アンカーテキストをめちゃくちゃ入れるといったブラックハットの全盛期が2013年頃までで、2014年になると、しっかりとしたコンテンツを入れると順位も上がるという時代になりました」
「だから特にSEOが分からなくても、読者が読んで役に立つ記事を入れていけば上がってたんです。それを続けているだけでPVも上がってくるから、後々知ったGoogleアドセンスで初めてお金も稼ぐことができました」
この後、理不尽な上司に嫌気が差して退職し、現在までフリーランスとして年収2000万円を稼ぐブロガーへと大成する。
ここからは、その成功に至ったノウハウを聞いていこう。
【うみさん流】サイト運営ノウハウ
ネットで売れやすい商材の見分け方
①ネットで買われることが基本的な商品
「例えば日用品は消費量に対してあまりネットで買われないですよね。単価も安くてどこにでも置いているものなので。逆に転職エージェントは、今時ネットで調べず電話して申し込みするような人はほとんどいないので、ネット経由での申し込みがほぼ100%だと思います。それはネットで儲かる分野だと言えます」
「家電の中でも同じことが言えて、例えば冷蔵庫って意外とネットで買われにくいんですよ。大きいから一見ネットで買われやすいように思うですけど、冷蔵庫は壊れたらその日に絶対に必要な物なので、家電量販店に買いに行く人が多いんですよね。買い替えだと古い物を引き取って欲しいですし、そういうのを相談出来るところで買いたいですよね。」
「だけど直ちに必要じゃない家電とかはネットで売れる傾向があります。掃除機なんかはその日に絶対に必要なことってあまりないので、ネットで売れます。そのあたりの見極めが大事ですね」
②それしか解決法がないもの
「それじゃないと解決できないものがいいと思っています。例えば脱毛ってすごく儲かるジャンルで有名ですよね。それは脱毛サロンしか手段がほぼないからだと思うんですよ。AGAにしても、手段が絞られるじゃないですか。育毛系のシャンプーかAGAクリニックみたいな。なのでこういった、解決手段が限られるものを選ぶこともポイントですね」
③ガジェット
物販については、1件の報酬額が少ないが、これも選び方次第だという。
「マクリンさんがやっているガジェットもネットで売りやすいですね。小売店に売ってないパターンがあるので。わりと『ネットで買うもの』みたいなイメージが付いていることも大きいです。だから物販でも、ネットで売れるものであればいいと思いますね」
個人ブログが勝てるキーワードの見極め
「例えばですが、法律系のキーワードって個人ブログでは上げられないんですよ。検索結果を見たら分かるんですけど、弁護士事務所とか保険会社といった専門機関のサイトばかりのキーワードは絶対に上がらないので、そこはやっちゃダメです」
「逆に、エンタメ系(マンガや映画)のキーワードはまだまだ上がるので、そっちを中心にやっていくイメージですね。今は企業メディアが小さいワードも押さえてきているので大変なんですけど、キーワードは無限にあるのでそれを拾っていければまだ全然勝負できますね」
「何より、一人で書ける記事数は限られているので無駄な記事を書かないっていうのがすごく大事です。それを徹底しないと収益化は難しいですね」
さらに、当たり前のようにお宝キーワードを見つけられる力も、これからは必要になってくるという。
「仮にエポスカードを成約させようとした時に、「エポスカード ○○」みたいなキーワードではもうSEO上位を取れないんですよね。なのでどうするかというと、例えば「マルイ」関連で狙ってみるとか」
「エポスカードはマルイグループのカードなので、マルイで使うと特典があります。マルイ関連のキーワードならまだSEO上位が取れるので、こっちで集客するイメージですね。このあたりの『キーワードずらし』ができないと難しいかなって思います」
ユーザーの属性に絞って集客しよう
さらに、よく初心者の方にアドバイスする話があるという。
「僕はよく『属性で集客するといい』という話をします。僕のフリーターのサイトとかは、ひたすらフリーターを集客してるだけなんですよ。だから『転職』とか『商標』とかのキーワードでは全然取っていなくて」
「集客したフリーターに対して、就職できるよって訴求することで成約を狙えるんです。なので『◯◯が趣味の主婦』だとか、『○○が好きな人』っていう属性で集客しておいて、そこで商品を売るようなやり方であればまだ全然いけると思いますね」
キーワードの表面ではなく、深層心理を考える
「ユーザーがどんな検索意図を持ってきているかを考えるのが一番大事ですね。『表面ではなく深層心理』への解決策を出してあげるっていうのが大事かなと」
「これも例を出しますが、『正社員になりたくない』みたいなキーワードが実際にあります。このキーワードで検索する人って、本当は『正社員になった方がいいのかな?』っていう潜在的な意図があるんですよね。」
「なのでそこにちゃんと答えてあげる必要があります。ただ『なりたくない』っていう文字だけを見るのではダメですね」
さらに記事を作る際、彼は他のサイトの内容を参考にしないという。
「どちらかというと、知恵袋とかTwitterを見て、ユーザーが何を知りたいのかを探すようにしています。検索結果に出るサイトは、たしかにGoogleが評価して上げているものだと思うんですけど、どうしても内容が被っちゃうのであまり見ないようにしていますね」
外注のポイントは、一人に長く続けてもらうこと
Twitterのプロフィールには実質労働が20時間とあるが、実際はもっと働いていないという。
それはほとんどの仕事の外注化に成功し、もはや自分の手でサイト更新をすることもわずかになったからだ。
彼はどのようにしてその仕組みを作り出したのか。
「まず、ライターさんへ出すお金は渋っちゃだめだなって思います。他よりも単価が高くないとダメですね。あと僕の場合はこれまでにほとんどのライターさんを削っていて、今は二人しかいないんですけど、二人ともすごく長いんですよね」
「長くやっていれば要領がつかめてくるので、続けてもらうために良い報酬と、良い条件を用意することを徹底しています。それで1年くらいたったらいい人が何人か残ってるって感じでした」
外注は「一人に長く頑張ってもらう方が効率的」と語る彼のライターに対する配慮はこれだけではない。
「サイトの『中の人』になる意識を持ってもらえたら強いと思っています。自分がいないといけないとか、自分がそのサイトを動かしているんだという意識ですね」
「僕のサイトでは、サイト内にライターの名前を入れるようにしていて、『中の人』の意識を持ってもらう工夫をしています。基本的にこの意識がある人なら、僕はそんなに能力については見ていないです。長くやっていれば基本的には能力はついてくるので。なので、当事者意識をいかに持ってもらえるかを一番大事にしています」
成長し続けるために、勘違いを起こす
「僕は正直そんなにお金はいらないんですけど、頑張らないと前に進めませんよね。なのでまず『100万円稼ぐ』という目標を立てました。当時高知に住んでいた時ですが、駐車場と家の間にでっかいマンションがあったので、そこに住もうっていう訳の分からない目標を立ててましたね」
「で、100万円を稼げてからは、月200~300万円を稼ぐまではあまり苦労をしていなくて。でもそこから全然伸びないんですよね。僕は今でも1Kに住んでも、普通の国産車に乗っていてもいいんですけど、そういう意識だと衰退していくなと思うので、『あのタワマンに住むわ』とか『マセラティ乗るわ!』みたいな、よく分からない勘違いを起こしてモチベーションを上げています(笑)」
「あと、僕はよく東新宿のコワーキングによく行くんですけど、その近くにスクエア・エニックスが入ってるビルがあるんです。行くたびにそれを見て『俺はああいうビルで働くんだ』みたいなことを思ったりして。みなさん家でパソコンに向かってると思うんですけど、僕は外でそういうよく分からない勘違いを起こしていますね」
これからのSEOに大事なこと
情報が閉鎖的になっている。取りに行こう
今後のSEOを戦っていくためには、初心者・上級者を問わず、人から情報を取りに行く姿勢が欠かせなくなっているという。
「外に出て色んな人と話して情報もらった方がいいというのが、今の風潮としてあります。今って情報が溢れているように見えて、逆に情報が閉鎖的になってるんですよね。閉鎖的というのは、SEO順位をどうやって上げていくかという情報がネット上に出てこないということです」
「昔は良い記事を出していれば上がってたんですけど、今はそうじゃなくて。SEOの攻略の情報は、人と会って共有し合っていかないと本当のところが分からないなって思います」
「基本的には、多くのサイトが『とにかくユーザー視点の記事を作ってね』って感じで書いていますよね。でもそれは表で言えるんですけど、実際はもうそれだけだと厳しいんですよ」
顔出しのメリットはたぶんこれ1つ
昨今、ネット上での顔出しの必要性が問われることが増えた。
顔出しの有無で、発信する情報の信頼性が高まるか否かという点だ。
うみさんは顔出しのメリットをどう捉えているのか。
「顔出ししているとオフ会とかイベントに行った時に誰か分かりやすい、覚えてもらいやすいというのがあると思います。逆にそこくらいしかメリットはないのかなと思っています。ヒトデくん人形(ぬいぐるみ?)みたいなのを使って顔出しせずに認知させてるズルい人もいるんですけど(笑)」
「僕はこれまであまり顔出ししてこなかったので、『あの人誰だろう』みたいな感じになることが多いんです。顔出ししているとそこが楽でいいですよね」
「信頼性の面でも。『moto』さんとか『ちきりん』さんとか、匿名で顔出ししていないのに信頼されている人はたくさんいらっしゃるので、ネット上の信頼に関してはほとんど関係ないですね」
「先ほどの『人から情報をもらう』という意味でも、繋がりを作りやすいというのは大きいですね。アフィリエイトにも多少の営業力が必要になってきているので、尚更かなと」
とはいえ、彼は元々顔出しをする予定ではなかったという。
「イベントとかに行くと、若いブロガーさんなんかは撮影した写真をそのままSNSにアップしたりするんですよ(笑)」
実は僕の写真はTwitter上にいっぱいいるんですよね。なのでもういいやみたいな感じになってますね(笑)」
人と働く充実感が欲しい
お金と時間の自由を手にしたうみさんはこれから、何に注力していくのだろうか。
「今は人と一緒に仕事をしてきたい気持ちが大きくて、受注による仕事を増やしていきたいなと思っています。ちょうど始めているのは企業サイトのリライトとかですね。他には新しい事業もやっていきたいですし、不動産も買うかもしれないしで、色々考えてはいます」
「なので一週間に20時間も働いていないと言っていますが、最近はもう少し働いていますね(笑)」
「僕はどちらかというと仕事が好きな方なので、仕事にお金を使いたいと思っています。今も稼ぎの半分以上は外注費とか仕事に関するお金に使っていますね。全然働いてないとはいっても、仕事に通ずる情報を得るようにしていますし、その際は人に会うことが多いので移動にお金を使ったりとか」
「逆にそこしか興味がないかもしれないです。服も普通のものが着られればいいし、高層マンションに住まなくてもいいので、今後はより人と働く充実感を求めていきたいですね」
これまでの実績を活かした営業で新しい仕事を始めている。
ブログ創設当初はおぼろげだった「ブログを何か仕事に活かせるかな」という想いは、今確実に形になっている。
築いた実績はいつか、やりたい仕事に繋がる
職を転々とし、興味の赴くままにのめり込んできた人生。
人たらしという能力を持つ彼は、その必然なのか人との仕事を求め、動き始めている。
それも、大きく稼げるアフィリエイト活動をセーブしながら。
お金を指標にするのも大事だが、自分のやりたいことを都度全力で取り組む姿勢も、いい結果に結びつく大きな要素であるように感じられた。
これから何を始めるにしても、築いた実績がやりたい仕事に繋がることを信じて、まずは第一歩を踏み出していきたい。