本業で圧倒的な成果を出しながら、副業でそれ以上の年収を稼ぎ出すサラリーマンがいる。SNSを中心に注目を集めているmotoさんだ。
自身の転職経験を基にした発信が話題となり、今ではサラリーマンのカリスマ的存在となっている。各メディアに引っ張りだこな彼の副業や転職論、さらに今後のキャリア戦略に迫った。
motoさんとは? 肩書や実績について
業界を変えながら転職することで年収を上げ続け、32歳6社目にして年収1500万円、副業年収1億円を稼ぐハイブリッドサラリーマン。それがmotoさんだ。
Twitterは約8.8万人、Instagramで約1.5万人、Voicyでは約2.5万人のフォロワーを抱えており、その発信が注目されている(数字は2020年1月現在)。
メディア露出も多く、東洋経済やNewsPicksをはじめビジネスメディア「新R25」レギュラーズへの抜擢も。さらに、2019年には自著『転職と副業のかけ算-生涯年収を最大化する生き方-」を出版し、が初週で3万部を売り上げるなど、その勢いはとどまるところを知らない。
motoさんの足跡を辿る
副業思考を持った少年
副業思考の原点を幼少期に求めるのは、多少強引さがあるかもしれない。だがmotoさんの場合は、小学生にしてその思考が強く鍛えられていたように思う。
「僕は、親からお小遣いをもらえない環境で育ったので、自分でお金を稼ぐしかありませんでした。今思えば、お金を手に入れることを意識し始めたのは小学生の頃でした」
僕の実家は長野県の中でも寒い地域にあって、ミヤマクワガタという珍しい種のクワガタがよく捕れたので、これを友達に売っていました」
「その後は、ポケモンのゲームで稼いでいました(笑)。クワガタ同様、レアなポケモンを友人に売ることでお金を稼ぎ、中学ではゲームソフトの転売、高校ではオンラインゲームのリアルマネートレード(RMT)にハマりました。稼ぐ金額を増やすと同時に、手間を減らすことも考えるようにしていました」
※リアルマネートレード(RMT)とは?
ゲーム内のアイテムやコインを現金で販売する方法。
現在はゲーム規約で禁止されている。
このような稼ぎ方をしている人は周りにいなかったため、ノウハウはすべてインターネットで調べたという。少年時代から「相手のニーズを考え、それに対して自分が持っているものを交換してもらう」という経験を積んでいたのだ。
彼がリアルマネートレード(RMT)で稼いでいた当時の思考法はこうだ。
「同じオンラインゲームをしている大人の行動を見ていると、ある一定の時間にだけログインをしていたんです。おそらく昼間は仕事があるため、ゲームに割ける時間が限られていたんだと思います。彼らは手に入れるのに時間がかかるレアアイテムやゲーム内の通貨を、リアルの現金で購入していました」
「彼らはお金はあるけど時間がない。僕が持つゲーム内のコインやアイテムを現金で買いたいと言われたことがきっかで、RMTにハマっていきました」
高校時代はアルバイトをせず、この方法で月に20万円ほどを稼いでいた。高校へ入学した当初、当時高額だったPlayStation2も早々に買えてしまうほどになっていた。
「親の門限が厳しかった僕は、時給の高い深夜のアルバイトやハードワークは物理的にできませんでした。なので、アルバイトではなく、家で稼ぐ手段を考えました。時間給をいかに高めるかを意識してゲームに取り組んでいました」
インターネットに居場所を求めていた
現在の副業のメイン収入は、ブログサイトからのアフィリエイト収益だ。
インターネット上で発信をするようになったのは高校生の時から。mixiにはじまり、短大時代は、女子約600人に対して男子6人という特殊な環境だったこともあり、それをネタにしてブログを書いていた。ブログサービス内のアクセスランキングで芸能人を抑えてトップになったこともある。
「時間があるからとりあえずやってみようと思った」とはいうが、この時点で既に、ヒットする記事の書き方を体得していたのかもしれない。現在の礎とも捉えられるが、そもそも彼はなぜ情報発信をしようと思ったのか。
「インターネットの居心地が良かったというのが大きいです。転売やインターネットで大きなお金を稼いでいると、友達との価値観がズレて話が合わないシーンも結構あって。なので、同じ価値観を持つ人を求めてインターネットで発信するようになりました。インターネットには様々な人がいたので、コミュニティが作りやすく、いろんな考え方を知ることができました」
自分で正解にするという気概
大手を蹴ってベンチャーに行くと決めた時に「え、大丈夫?大手の方が良くない?」とアドバイスくれる人いるけど、企業の看板に自分のキャリアを見出すほうが危ないよね。これからの時代は企業の看板や在籍年数より「ビジネスマンとして何ができるか?」を語れる存在にならないと市場価値上がらないよ。
— moto (@moto_recruit) August 22, 2019
motoさんは、就活で大手企業からの内定を獲得するも、あえて地元長野のホームセンターへ就職する道を選んだ。周囲からは強く反対されたそうだが、それでも自分の道を進んだ理由とは何だったのか。
「いろんな人に反対されましたが、『なんとなく、やっていける気がする!』という根拠なき自信で選択しました(笑)。ホームセンターだからキャリアを築けないなんて、他人が決めた価値観でしかない。自分で選んだ道は、自分で正解にしていくしかないという気持ちで選択しました」
むき出しの反骨精神と、やらざるを得ない状況の中で自分を奮い立たせた。ただ、この道が全員にとって正解だとは考えていない。
「結果的にこの選択を自分で正解にしただけなので、他にもっと良い選択肢もあったと思います。決して僕のやってきたことが最適解だとは思っていません。でもこの選択をしたことに後悔はないです」
裏を返せば、周りが勧める道が正解かは分からないとも言える。自分がどの道を選ぶとしても、大事なのはそれを正解にするという気概なのかもしれない。
【転職論】いい転職に繋げる4つのポイント
30歳で1000万を稼ぐ筋道の立て方
「〇歳までに1000万円稼ぐ」のような目標は誰しもが一度は掲げたことがあるだろう。だが、具体的にそこに辿り着く筋道が見えている人は、どれくらいいるのだろうか。
motoさんに、その筋道の作り方を聞いた。
「僕は、30歳で年収1000万円をもらっていた人が、どうやってその年収をもらうようになったか聞いて回りました。中でも、最初から『高学歴』ではない人達を中心に会って、根掘り葉掘り、キャリアについて話を聞いていましたね」
その方々とはインターネットや就活中に出会ったという。
「彼らは業界を変える転職をすることで、年収レンジの高い会社に移行していったという共通点がありました。また、明確な実績を持っている人も多かったので、自分でもそれが実現できる環境に行こうと決めて、キャリアの筋道を作っていきました。転職という手段を利用し、僕は自分自身の価値と年収を上げるための行動をしてきました」
これが現在、motoさんが提唱している「軸ずらし転職」の土台となる。
※軸ずらし転職とは?
「職種×業界」の2軸のどちらかをずらして転職することで、年収を上げていく方法のこと。
motoさんは「営業」という職種はそのままに、より年収レンジの高い「業界」へと軸をずらすことで年収を上げてきた。
いい転職に繋げる。会社の見極めポイント
motoさんは就活中に、“早期に評価してもらえる企業の特徴”をとある先輩社員から聞く。それは「短期で結果が出せる」「自分が自由にやっても怒られない」「転職で評価される実績が出せる」の3点だ。では、転職活動の際、どのようにこの3点を判断すればいいのだろうか。
「業種の特性を知ったり企業研究をすることで見えてきました。僕は就活中も就活のナビサイトではなく、転職サイトを見て、より解像度高く仕事内容を想像するようにしていました」
「新卒のキラキラした採用ページを見るより、テキストしか載っていない中途のページを見る方が情報が多かったんです。この仕事をする人は日頃どんな仕事していて、どんな能力が求められるのか、何をすれば評価されるのか、年収いくらくらいなのかなど、新卒の採用ページに載っていない情報を細かく見ることで、ほかの就活生よりも高い視座で面接に臨んでいました」
加えて、ブラック気質なのか、それともホワイト気質なのかというところも企業を見極めるポイントになる。
「ブラック企業の定義は、それぞれの捉え方による」としながらも、motoさんは一つの回答を用意してくれた。
「僕はvorkersの口コミを見るようにしています。ネガティブな口コミが多く書かれているのはなぜなのか、自分なりに仮説を立てて、転職エージェントにぶつけて反応を見ています。また、離職率が高い理由や退職後の転職先なども聞くと、その企業の特徴がわかってきますよ」
自分の実力と会社の力を棲み分けする
リクルートは総じて人材レベル高いけど「泥臭く地を這うような経験をした人」と「リクルートの看板を武器にして毎日作業してた人」では市場価値に大きな差があるよね。社名は錯覚資産になるけど「個人として何をできるか」は市場価値に影響するから「看板のない自分」で勝負できるようにするといいよ。
— moto (@moto_recruit) April 25, 2019
motoさんはリクルート時代に「自分が積み上げた実績は、会社の力あってのものなのか、それとも自分の実力なのか」に思い悩んだそう。
「当時、電話口で『リクルートの○○です」と言ったら、たいていアポが取れたんですよね。でも自分がやっていた副業では、自分の名前を出した途端、ガチャ切りされる。会社のブランド力をどう使うか、自分の実力はどこで発揮するべきかなど、個人と法人の力を分けて考えるようにしていました」
「企業名を錯覚資産として使うのは良いと思いますが、決して自分の力だと勘違いしてはいけないと思います。僕は自分の力を試すために、リクルートを辞めてスタートアップに転職しました」
「また、自分の力を把握する上で、副業をやってみるのもおすすめです。企業に所属していると、個人名義で仕事をすることは難しいですよね。だから副業を通じて自分の実力を客観的に把握すると良いと思いますよ」
『アドバイス』会社のために働けない人たちへ
motoさんの転職論では、「会社を大きくする」視点の重要性が説かれている。
しかし希望の会社に入れなかった人や、日々の仕事にやりがいを見いだせない人の中には、会社を成長させようというマインドを持てない人もいるのではないだろうか。
そうした状況下でも、より良い転職をするためにはどうすればいいのか。
「仕事は与えられるものだ」と思っている人と「仕事は自分で創り出すものだ」と思っている人の差は開く一方よね。ただ真面目に働いて「給与をもらう」のではなく、価値を提供して「お金を稼ぐ」という姿勢を持つのが大事。リーマンは本業以外でも「稼ぐ力」をつけて市場価値と年収を上げた方がいいよ。
— moto (@moto_recruit) June 27, 2019
「もし希望の会社に入っていたとしても、そこで活躍できるか、その選択が正解であったかはわかりません。どんな環境であれ、入社するという意思決定は自分でしているはずなので、今の選択肢を正解にする努力をするしかないと思います」
「確かに、自分が志望する企業に入れなかった人は『会社のために働く』というマインドを持ちにくいと思います。こうした悩みに対して僕がアドバイスをするなら、会社のために働くというより『自分の将来のために働く』という視点で仕事に取り組むことをおすすめします」
「自分が努力したことは、自分に返ってくるはずなので、『目の前の仕事で成果を最大化する』ことに意識を集中してみてください」
「どんな環境でも、会社や組織に貢献することが自分のキャリアにおける実績になっていきます。成果を出すことにコミットして、逃げの転職にならないようにすることが大事だと思いますね」
「motoさん流」SNSブランディング戦略
motoさんがSNSをやる意味とは何か。
そしてどのように”motoさん”をブランディングしていったのか。
彼の活動のメインとなっているSNSの戦略を語ってもらった。
motoさんのキャラクターがリンクしていない現状
motoさんのSNSは、よく見るとそれぞれ印象が異なる。例えばInstagramは、みんなが憧れるような華やかな世界観で統一されており、逆にvoicyではみんなのお兄ちゃんのような身近さを感じられる。
同じmotoさんというキャラクターでありながら、なぜこのようなギャップが生まれているのか。
「それだけで2時間喋れます」と笑いながら、熱く解説してくれた。
「芸能人や知名度のある人は別ですが、僕のような無名アカウントがゼロから始めるには、各プラットフォームで受け入れられやすい発信をする必要があると考えていました。
なので、僕は自分が得意とする領域の情報を、各プラットフォームのユーザー属性に合わせた形で発信するようにしました。その結果、キャラクターがリンクしていないような見え方になってしまったんだと思います」
「Twitterでは転職や副業に関するノウハウを発信し、noteではTwitterにまとめきれない情報を有料にして発信しています。インスタグラムでは非日常的な写真を発信し、voicyでは声を活かしてキャラクターをより身近にするように心がけています。様々な角度で発信しているつもりですが、リアルで会った人には「全然印象が違う」と言われます(笑)」
「確かにバラバラではあるんですが、全て僕の一部を切り取って出しているものなので、個人的には違和感はありません。イメージはユーザーが作り上げていくものなので、特に気にせずに楽しみながらやっています」
YouTubeがキャラクターのズレを正すか
「とはいえ、SNSごとに印象が違うのは“motoさん”というキャラクターを身近に感じづらい要素の一つになります。なので、より具現的な存在にするためにYouTubeを検討しているところです」
「各SNSで点になっていた部分が映像化されることで結びつき、よりリアルなイメージに繋がるのではないかと思うんですよね」
しかし、motoさんは「YouTubeの市場も魅力的」とし、ここまでと同様にプラットフォームへの最適化へ舵を切ることも十分あり得るという。
「これまで発信してきた“motoさん“というキャラクターの断片をつなぎ合わせて出すことは、僕に興味を持ってくれているフォロワーにとっては面白いコンテンツになると思いますが、恐らく再生回数は伸びないと思っています」
「僕が見ている限り、Youtubeは、ユーザーの興味関心に合った動画か、ユーザーの困りごとを解決する形の動画の再生回数が多いので、ここの合致するコンテンツを出す方が長い目でマネタイズしやすいと思っています。せっかく新しいプラットフォームに乗り出すからには、既存のユーザーを満足させるだけでなく、Youtubeにいるユーザーも満足させ、マネタイズも考えていきたいんです」
「You Tubeは今すぐやるというより、どういうユーザーが何を求めているのか?というインサイトを考えつつ、タイミングをみて出そうと思っています。そもそもYoutubeでお金を稼ぐのか、それともキャラクターの具現化だけで終わらせるのかについても色々と考えているところです」
「何事もやってみてから考えるタイプですが、動画は手がかかるので、方向性を決めることに時間をかけています。最近は僕の偽物が出てきているので、とりあえずYou Tubeのアカウントを作ったんですけど、おかげさまで動画がないのに登録数が1000人を超えてしまったので、引き下がれない感じになってます。(笑)」
自分を応援してくれる人をいかに増やすか
motoさんの緻密に練られたブランディング戦略。
それはなりたい理想像があったわけではなく、悪い例から学び取って作られていったという。
「これまで、いろいろなアカウントを反面教師にして学びを得てきました。むしろ『こうなりたい!』という理想像がなかったので、それもあって今の“motoさん”というアカウントが成り立っているのだと思います」
「不用意に炎上させたり、不必要にアンチを生むような発信はしないようにして、常に自分を応援してくれる人を増やすことに重きを置く発信を続けています」
さらに、Twitterをブランディング戦略の初手に選んだ理由も語ってくれた。
「Twitterを選んだのは『何者かである必要がない』ことと、『誰が言ったかではなく、何を言ったか』が重視されるプラットフォームだったからです。なので、発信する上では最もエントリーしやすいと思いました。予想通り、匿名のアカウントでもここまでくることができました」
誰にでも分かる表現で伝える技術
motoさんはブログやnoteの売り上げなど、多くの実績をTwitter上で明らかにしている。
これは下手をすると嫌みに感じる人も現れそうだが、彼の場合それがほとんどないように思う。
炎上や、アンチがつかないように注意していると語る彼が、情報発信の際に心掛けていることには何があるのか。
「誰にでも分かるように伝えることを意識しています。イメージとしては小学6年生でもわかるような言葉を選んで発信する。偉そうにモノを言ったり、一部の人にしかわからない発言は、伝わる人が限られてしまうのでしないようにしています」
「お金の話については、信用が数値化されたものだと捉えているので、公開することに違和感はないです。このテーマのnoteはこれくらい売れる、ということを知ってもらうことで、サラリーマンでもここまで稼げるんだ、という一つの参考モデルになれたらと思っています。僕もごく普通のサラリーマンで、決して特別な人間ではありません」
「でも、やるかやらないか、ただそれだけで結果や人生が大きく変わるという経験をたくさんしてきたので、同じような経験をする人が増えるといいなと思って、日々情報発信を続けています」
【ブログ論】Googleに常に銃口を向けられた状態
SEOと記事数の関係
「SEOについては短大の時から趣味感覚で学んでましたね。どうやったら上に上がるんだろうっていうのが興味深くてバズ部を読み込んで実践していました。なので最低限の知識は備わった状態でブログは書いていました」
SEO界隈では有名な話なのだが、motoさんは非常に少ない記事数でSEO上位をキープしている。
本人はSEOと記事数の関係をどう捉えているのか。
「量の問題ではないことは当時から思っていました。何も得られない記事を量産したところで、読者の時間を無駄に奪うだけで価値がない。僕はそういう記事を見たときに、速攻で戻るボタンを押していたので、こういう記事を書かないようにしようと決めていました」
「たとえ記事数が少なくても、ユーザーに読まれる記事を書くことが大事だと思います」
記事作成で大事なのはただ一つ
では、motoさんが記事作成で意識していたことは何なのか。
それはただ1つの言葉に集約された。
「ユーザーが求めている記事を出すこと。ただそれだけです。みんなが困っている部分に対して、自分の知識や知見を提供する。これに尽きます。」
「どんな記事でもGoogleに向けて書いているわけじゃないので、ユーザーが読みたい記事が何なのか?を考え抜くことが大事だと思ってます。」
彼が複数のブログを成功に導いていることもあり、何か技があるんじゃないかと考えられている方も多いと思うが、彼は「そんなものないですね」と一蹴する。
SEOに確固たる解答はないが、motoさんの成功を支えているのは、ユーザーファーストを並々ならぬレベルで突き詰めた結果ではないだろうか。
「SEOのコンサルをしている人も見かけますが、大事なのは誰が、何を発信するかと、その中身なので、小手先のテクニックでどうにかなるものではないです。実際に僕のブログを分析している人も多く見かけますが、当人の僕ですら本当のところはわかっていませんからね(笑)」
そんなmotoさんにとって本業は「マーケティング要素」と「インプット」の両方を兼ねたものだという。
『世の中では何が求められているんだろう』『みんなは何に困っているんだろう』っていうニーズを、サラリーマンという本業の中で見つけるようにしています。そして、そのニーズに自分で応えられるような経験を積んで、副業でアウトプットするようにしています」
本業で得たものを副業としてアウトプットする。
これは副業に割く時間を少なくできる理由の一つでもある。
『アドバイス』ブロガーでやっていこうと思っている人へ
サラリーマンを軸にしているmotoさんは、ブログ一本でやっていこうという考え方をどう思うのか。
「僕はその考えは危険だと思います。SEOのアルゴリズムを攻略することはできないですし、昔に比べて遥かに難易度も高くなっていると思います」
「ブログのことを『好きなことを、好きな時間に書いて、お金が稼げる』みたいに捉えている人は多いですし、インフルエンサーと言われる人の中にはそういうものだと発信している人もいますが、一時期流行った「新卒フリーランス」みたいな人が今どこで何をしているのか考えてもらえば、その答えはわかると思います」
「ブログであっても、お金が発生する以上ビジネスなので、どうやってお金を稼ぐかは真剣に考える必要があります。楽して稼ぎたいと思っている人は、サラリーマンより厳しい状況になると思うので、僕はおすすめしませんね。」
「なぜSEOで上位なのかを分析しても答えはわからないですし、いつ何時Googleの一存で変わってしまうかもわからないので、サラリーマンをやっていた方が僕は良いと思っています。会社員をやめることを目的にブログをやるのは、特に辞めた方がいいと思いますよ」
実際、motoさんはブログが閉鎖された経験がある。
はてなブログは「収益目的の運営」と判断した時点でアカウントを止めてくる。僕の場合は収益を公開したことがきっかけで見事に停止となりました。他にも同様の事例はあるから、稼ぐ目的でブログやるならワードプレスが良いよ。 https://t.co/X1SLHwr32t
— moto (@moto_recruit) June 1, 2019
ブログ一本で生きていた人にとっては絶望的な状況だと思うが、彼は全く気落ちしなかったという。
「副業なので特に何も思わなかったですね。むしろ、改めてブログが副業で良かったと思いました。ブログだけで生きることのリスクを肌で感じることのできた良い経験になりました」
過去に「『失敗を恐れる』のではなく『失敗してもいいようにしておく』のが大事」と語っているように、彼は本業と副業の2軸でそのリスクをカバーしている。
これからの副業との付き合い方
アフィリエイトはオワコンじゃない
「アフィリエイトはオワコン」だと言われて久しい。motoさんはその声に対してどう思っているのか。
「GoogleのSEOの攻略が難しくなったことで、アフィリエイトは終わったと言われているのではないでしょうか。確かにアフィリエイトは厳しくはなっているものの、インターネット広告自体の市場は伸びているので、まだ余地はあると僕は思っています」
「僕のブログが閉鎖されたとき、すぐに偽モノが現れて、僕のブログを完全にコピーしたサイトが大量に作られたんですが、こうしたことを平然とできる人間にもお金が入ってしまう状況には違和感を覚えました」
「なので、Googleのアップデートで、書き手の権威性やコンテンツの質が重視されるようになったのはとても良い傾向だと思います。アフィリエイトという仕組み自体はとても良いものなので、より健全な世界になってほしいですね」
次なるステージへの展望
motoさんが今、サラリーマンである本業と並行して走らせている仕事は3本ある。
「1つが副業のメインの収入源になっているブログやmotoさんとして引き受けている仕事(書籍やvoicy、講演会など)です。これらの仕事は引き続き自分自身で伸ばしていきます」
「最近では個人の収益化の一つにオンラインサロンを展開する人も多いですが、僕はそのような形で収益を増やす予定はありません。個人でお金になるコンテンツを出すのはnoteで十分なので、toB向けのビジネスで伸ばしていく予定です」
「2つ目はまさにtoB向けのビジネスなのですが、motoさんの仕事の延長として広告代理店を作っています。まだ詳細は伏せますが、おかげさまで順調に売上は伸びています」
「そして、3つ目は転職サイトです。僕自身が使いやすい転職サイトを作ってみようと思い、去年からエンジニアを採用して作りはじめました。今後は自分で稼いだお金を事業に投資していく予定です。やはりブログだけでは不安定なので、ほかの事業を作って収益を伸ばしていこうと思っています」
motoさんは昨年、5度目の転職を果たしている。
今回の転職は、より副業への融通を利かせるためという目的が大きかった。
常に次の転職を考えている彼の脳内は今。
「個人で仕事を取れるようになった今、会社員として何をすべきか、そもそも会社員であるべきかについて悩むところもありますが、副業も含めて、より大きなことができる組織やチームを作りたいと思っています」
「ブログという不安定な稼ぎ方から抜け出せれば、副業の本業化もゼロではないです。個人で稼ぐスキルと、組織に求められるスキルは違うので、自分のスキルのバランスとお金や時間を考えながら、次のキャリアを決めていきたいと思います」
進んだ道をモデルケースに
思えば、少年時代から周りと違う生き方をしてきた。
誰と意見が食い違っても自分の意志を貫き、そして正解にしてきた。
生粋の副業少年は今、いよいよ副業の本業化も視野に入れ始めている。
次世代型サラリーマンのモデルケースと表現される彼はこの先、どんなサラリーマン像を見せてくれるのだろうか。
どんな道を選ぶにせよ、彼はこれからも正解を作り続ける。